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製品の品質を左右する冷却の重要性

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なぜ冷却が必要なのか?

ダイカストにおいて、高温に溶解した金属を金型に射出し、所望の形状に凝固させる冷却工程は、製品の品質を決定づける根幹です。もし適切な冷却が行われなければ、以下のような様々なトラブルが発生し、不良品の増加や生産性の低下を招きます。

凝固不良と組織欠陥

溶融金属が緩慢に凝固すると、結晶粒が粗大化し、巣、気孔、偏析といった組織欠陥が発生しやすくなります。これらの欠陥は、製品の強度や気密性を著しく低下させ、最終的な製品の信頼性を損なう原因となります。

寸法不良と変形

不均一な冷却は、製品各部の収縮量を異ならせ、寸法精度を悪化させます。また、凝固時の残留応力が大きくなり、反りや歪みといった変形を引き起こす可能性があります。特に複雑な形状の製品や薄肉製品においては、わずかな冷却ムラが大きな寸法不良につながることがあります。

表面不良

冷却不足や冷却ムラは、湯じわ、肌荒れ、表面の凹凸といった外観不良の原因となります。これらの不良は、製品の美観を損なうだけでなく、後工程の表面処理の品質にも悪影響を及ぼします。

サイクルタイムの長期化

適切な冷却が行われない場合、製品が十分に凝固するまでに時間を要し、金型を開けるタイミングが遅れます。これは、サイクルタイムの長期化を招き、生産効率を著しく低下させる要因となります。

金型へのダメージ

高温の溶融金属が長時間金型に接触し続けると、金型材料が高温にさらされ続け、熱疲労によるクラックや変形が発生しやすくなります。適切な冷却は、金型温度の上昇を抑制し、金型の寿命を延ばす効果があります。

これらのトラブルを回避し、高品質なダイカスト製品を安定的に生産するためには、効率的かつ均一な冷却が不可欠です。

ダイカスト金型の冷却の仕組み

ダイカスト金型の冷却は、主に金型内部に設けられた冷却回路を通して行われます。溶融金属から金型に伝わった熱は、金型材料内を伝導し、最終的に冷却回路を流れる冷却媒体(一般的には水、油、あるいは場合によっては空気)に奪われ、系外へと排出されます。この熱伝達の効率が、冷却速度や冷却の均一性を大きく左右します。

冷却の基本的な仕組みは以下の通りです。

熱伝導

射出された高温の溶融金属が金型と接触することで、熱が金型材料に伝わります。金型材料の熱伝導率が高いほど、効率的に熱が移動します。

熱対流

金型内部に設けられた冷却回路を冷却媒体が流れることで、金型材料から冷却媒体へと熱が移動します。冷却媒体の流量や温度、冷却回路の形状などが、熱伝達効率に影響を与えます。冷却回路の設計においては、金型全体の温度を均一に保つように、冷却媒体の流れを考慮することが重要です。

熱放射

金型表面からもわずかながら熱が外部へ放射されますが、ダイカストにおいては、熱伝導と熱対流が主な冷却メカニズムとなります。

薄肉ダイカストの冷却の難しさ

近年、軽量化や部品の小型化のニーズの高まりから、薄肉ダイカスト製品の需要が増加しています。しかし、薄肉ダイカストの冷却は、従来の厚肉製品に比べていくつかの特有の難しさを抱えています。

急速な凝固

薄肉であるため、溶融金属は金型に接触すると瞬時に冷却され始めます。この急激な凝固は、湯回り不良やコールドシャットを引き起こしやすくなります。

冷却ムラの発生

薄肉部分は、厚肉部分に比べて冷却速度が速いため、金型内での温度分布が不均一になりやすい傾向があります。この冷却ムラは、製品の反りや歪みといった変形を引き起こす原因となります。

微細な冷却回路の設計

薄肉製品に対応するためには、金型内に微細な冷却回路を配置する必要がありますが、回路の設計や加工が困難になる場合があります。また、微細な冷却回路は、冷却媒体の流路抵抗が大きくなりやすく、十分な冷却効果が得られない可能性もあります。

高いサイクルタイム要求

薄肉ダイカスト製品は、一般的に高い生産性が求められるため、より短いサイクルタイムでの冷却が要求されます。しかし、前述の通り、冷却不良のリスクを考慮すると、単純に冷却時間を短縮するだけでは品質を維持することが困難です。

当社のダイカスト品の冷却方法

当社では、製品に合わせて3種類の冷却方法を採用しています。具体的には、ジェットクール、外部冷却、ダイカストアトマイザーの3種類です。以下にて、3種類を比較していますので、参考にしてください。

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